現在わが国の水道普及率は97％超の高水準に達しており、量を確保する「建設の時代」から、質の向上をめざす「管理の時代」に移行したといえるでしょう。これによって水道事業に対する総合的なコンサルタントである私たちの役割が、ますます重要になってきました。

現在の水道事業は、環境変化への対応、施設の老朽化、管理運営についての合理化などさまざまな課題をかかえ、私たちのコンサルティングや高度なサポートを必要としています。それらの課題のひとつに水をめぐる環境の変化があげられます。例えば異常気象がもたらす集中豪雨や干ばつが毎年のようにとりざたされていますが、私たちは水の安定供給を維持するため水源水質の調査をはじめ、合理的な水運用や新規水源開発を提案するなど水源対策への助言を行っています。水環境の悪化による水源汚染に対しては、飲み水の安全性を保つため適正な浄水処理方法の提案などを行っています。クリプトスポリジウムなどの原虫、トリハロメタンやトリクロロエチレンなど新しい汚染物質に対しては、膜ろ過浄水システム・高度浄水システム・高効率浄水システムなどの新技術の導入を推進しています。

また最近は、震災対策が緊急の課題としてクローズアップされてきました。これに対して私たちは万一の震災の規模を想定し、耐震工法にもとづいた新規施設の設計、既設施設の補強、管路の更新など、総合的な地震対策の提案を行っています。

少子高齢化による人口減少が続く中で、水道料金収入への影響も大きく、水道事業の運営面について、コストの低減、合理化、人員配置の見直しなどが求められています。私たちはこれを受けて、長期的に収支のバランスが取れる健全な経営の維持ができるように、経営診断業務を含めた専門的なアドバイスを提供しています。

このように水道事業全般にわたる幅広いコンサルティングを使命として、私たちは高度な技術を開発し、専門的な人材の育成に力を注いでいます。水道に対する住民のニーズは、一言でいうと「安全で、おいしい水を、安定的に供給する」ことに尽きるといえるでしょう。私たちはこのような住民の立場にたって“蛇口から水道を見る視点”を忘れることなく、これからも豊かな水環境システム、信頼される水道の構築に努力していきます。

高度浄水処理（膜ろ過）で30,000トンの施設を設計

浄水処理の画期的な方法として近年、一躍脚光を浴びているのが「膜ろ過浄水方式」。当社では、この膜ろ過浄水方式を当時としては、それぞれ日本一の規模となる施設の設計を手がけました。この浄水方式は従来の砂ろ過浄水方式と同様に濁りやクリプトスポリジウムの除去に有効な方式ですが、クリプトスポリジウム除去能力は1万倍であり、運転管理に特殊技術が不要で用地面積も狭小にできることから、将来の主流浄水方式になることが予想されます。

・羽村市　30,000トン/日（平成16年稼働）

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